「……くっ、罠か…」
レーダーを見た俺は、小さく舌打ちをした。
地下への二度目の突入作戦。
だが、奥へと進む途中に映ったレーダーの反応は、まさに自分を囲むような布陣だったのだ。
これが陸上であれば、大した問題ではないのだが、ここは地下。そのため、どうしても行動範囲が限られてしまう。
「巧妙な罠です。敵に囲まれています!!」
「なんとしても切り抜けるんだ!!」
通信からのオペレーターと司令の声が響く。いつもながら、ワンテンポ遅れた警告に苦笑を浮かべつつ、持って来た装備を確認する。グレードランチャーのUM―3AにバウンドガンM3。どちらも、攻撃力の面では申し分はない。Normal世界ならば。
本当ならば火炎放射とかも使いたいところだったが、他の仲間に回してしまったので仕方がないと言えば仕方がない。とは言え、自分ならこれで充分だ。
「……む…?」
すぐ側に感じた気配に顔を上げれば、数匹の巨大蜘蛛が姿を現す所だった。
以前の大戦では見かけなかった新種の巨大生物。すでに何度も遭遇しているが、初めて見た時はさすがに驚いたのを覚えている。
「そう言えば、初めて遭遇したとき。大暴れしてるのがいたな……」
あれは確かペイルウイングの一人だったと思う。レイピア片手に突っ込んでいって薙ぎ払う様を見て、頼もしいと思う反面、その鬼気迫る気迫にちょっと怖いと思ったくらいだ。
あのソラスと対峙した時でさえ、物怖じしなかった俺が(汗)
と、そんな事を思い出しつつも、UM‐3Aを固まっている集団の中心へと撃ちこむ。
爆発によって吹き飛ぶ巨大蜘蛛。しかし、ぐずぐずもしていられない。こうしている間にもレーダーの反応は着実に自分の方へと近づいて来る。
まずは進むべき方向を決め、わき道に逸れずにそちらへと突き進む。
正面に巨大蜘蛛が現れるが、立ち止まらずにひたすらに。囲まれる危険を考えれば、正面からの糸なんぞ大した事ではない。
やがて、しばらく進んだところでレーダーを確認すると、もはや進む先に巨大生物がいない事がわかった。よし、これで囲まれる心配はない。
その場で立ち止まれば、180°踵を返し、後から追って来る巨大生物の迎撃を開始する。
通路が細いため、グレネードを撃てば100%直撃する。そして弾が途切れると同時に、バウンドガンに持ち替えてさらに応戦する。
注意は正面だけに向けておけば良いので、楽と言えば楽だ。しかし―――
「……くっ…弾切れか…!!」
弾はしっかり切れる。すぐさま、リロード作業を開始する。その間に追いついて来た巨大蜘蛛が糸を飛ばしてくるが、ここで慌てたりはしない。まずは確実にリロードを済ませるのが大切だ。
ペイルウイングの方は、使っていない武器にも自動的にエネルギーチャージが行われるシステムになっているらしいが、陸戦兵はそうはいかない。すべて手作業だ。
なんとなく、女性隊員だから贔屓にしてるんじゃないだろうか?と言った考えも浮かぶが、それを言った所で待遇が変わるわけじゃないのは、前大戦で骨身にしみているので口には出さない。
「よし、これで終わりだっ!!」
リロードが終わるや否や、バウンドガンM3を叩き込んで正面の巨大蜘蛛を倒し、さらに後続の方へは合間を縫ってリロードをさらに済ませたUM-3Aを撃ち込み、一気に片をつける。
そこでレーダーを確認をすれば、どうやらこのあたりの巨大生物は今ので最後だった事に気がつく。
「この辺は制圧した。奥への侵攻を再開する」
残弾を確認し、なんとか危機を退けた事を連絡する。オペレーターは何やら驚いている様子だったが、この程度はピンチの内にはいらない。
本当のピンチと言うのは、歩行戦車ダロガの機銃が目の前で回転し始めたり、青い光が触角みたいなのに灯った時を言うのだ。もしくは新たに見かけるようになったディロイの照射型レーザーの発射口が開いた時とか。
―――――いや、ピンチというよりは絶体絶命の状況か?(汗)
ともかく、このくらいの事で苦戦していては駄目だ。そうでなければ、いつかは戦う事になるあの浮遊都市に勝つ事などできない。
でも、あんなのが後に控えてたとは夢に思わなかったなぁ……。
To Be Countinue....
■ おまけ■
と言う訳で、今回はちょっと真面目路線で行ってみました。
え?主人公じゃないって? ―――彼女が出ると、どうしてもギャグの方が多くなる物で…。
作者も存在を忘れかけていた、あの陸戦兵に出てもらいましたw
さりげなく重要人物です(ぇ
Comment
フェイさんと共同戦線張っていた・・・
それにしても早いですねぇ・・・
あと16ミッション頑張ってください♪