飛べないペイルウイングはネギしょった鴨である。
と言う格言があるかはわからないが、ともかく今の私はそういう状況だった。
プラズマエネルギーユニットが破損したために、飛べないし攻撃もできない。
さしあたってレーダーには何も反応がないのが唯一の救いと言った所か。でも、このままではやられるのがオチ。
どうしたものか。このままでケーキバイキングに行けなくなる…。
もはや本当にここまでか。そんな事を考えかけたその時、偶然通路に転がっている火炎放射器とグレネードランチャーを目にした。
辺りには誰もいない。どうやら、やられてしまった誰かの物だったらしい。
そういえば、巣を焼き払うのが目的だったから、火炎放射器を持ってきている隊員がいてもおかしくはない。
………弾はまだある。
ついでを言えば、一応普通の武器の扱いも訓練はしている。ならば――――使わない手はない。
落ちていた武器を拾い上げ、燃料や弾の残量をチェック。そして、再び奥へと進攻を開始した。
巣の最深部あたりは、どうやらほとんど一本道らしく迷う心配はなさそうだ。
…と、そこで先の方から巨大生物が近づいて来るのが見えた。
すぐさま火炎放射器を構え、トリガーを引く。
かなりの熱気と同時に、視界と通路が炎で完全に埋め尽くされる。
前が全く見えない。だが、確実に効いている事には間違いない。奥の方からは巨大生物の断末魔(?)が聞こえてくる。
やがて静寂が戻ってきて、先へと進むとこんがりと焼けた黒蟻が何匹も転がっていた。そして思う。
………黒蟻って美味しいのだろうか?
いやいや、さすがにそれは駄目だ。なんと言うか、人として駄目な気がする。
幾ら巨大生物が人を襲って食べるからと言って、人が巨大生物を襲って食べては元も子もない。
脳裏をよぎった馬鹿げた考えを振り払い、さらに奥へと進む。
途中、別れ道などがあったりもしたが、やっぱりそれほど迷うような道ではなかった。ついでを言えば、巨大生物がほとんど正面から迫って来るため、弾切れの間隔さえ間違えなえれば迎撃も用意だった。
火炎放射器の炎が通路を埋め尽くす規模で噴出すため、相手には逃げ場が全くないのだ。
もう一つのグレネードランチャーに至っては、グレネード弾を連射すると言うとんでもない物で、やはり威力があった。弾切れもそれなりに早いけど……。
いずれにしても、なんというか一撃の瞬間的なダメージと言うのがペイルウイング隊の武器よりも高い気がする。少し使ってみて思ったが、こちらの方が使い勝手が良いとすら思えてしまう。ペイルウイング隊の武器って、本当に癖が強いからなぁ…。
でも……こんなに良い物を使っていて、なんでよその部隊はあそこまでいつもやられてしまうのだろう…。
狙う腕が悪いのだろうか? こればかりはやっぱりわからない。
とりあえず遭遇する黒蟻やバゥを焼き払い、吹き飛ばしながら奥へとズンズン進む。
飛べないのが非常に痛いが、がんばって歩く。重い飛行ユニットを捨てたい気分にもなるがこっそり持ってかえれば任務外でも使えそうなので、あえて捨てないでがんばる。
そして、突然目の前が開けた。
そこにいたのはさらに巨大な羽蟻と、フツーの羽蟻。それを見て悟る。あのでっかい奴が女王蟻なのだと。
いや、幾ら女王蟻だからって、そこまで大きくなくても(汗)
その場から、すぐさま横へと移動しつつ、火炎放射器を使う。
まともに火炎を浴びつつも、負けじと酸を噴射してくる女王蟻。普通の蟻と違って、スプレーのごとく噴射してくるのと、元々飛べないので回避もままならない。
こうなればタイマンだと、酸に耐えつつ火炎放射を使い続ける。
やがて、限界になったのか女王蟻が倒れた。ついでに炎と酸のぶつけ合いに巻き込まれたのか、周辺を飛びまわっていた羽蟻もいなくなっていた。
……危ないところだった。
あと少し時間がかかっていたら倒れていたのは私だった。すでに動かない女王蟻に軽く手を触れ、良い勝負だったと告げる。
それから、改めてその場を見回す。
あちこちには白い繭が置かれている。どうやら、ここが最深部らしい。
ここまで来ればやる事は一つ。全て燃やして焼き尽くすのみ……。それじゃあ、締めと行きましょうかw
こうしてEDFの総力をあげた地底の巣への進攻作戦を幕を閉じた。
EDFは攻撃部隊の半数以上を失う大損害を受けたものの、巣穴を焼き払う事に成功したのである。
そして、その日の夕方。あるケーキ店に嬉々としてケーキをほうばる一人の女性の姿があった。
「先輩、無事に帰ってきてくれて本当に嬉しいです」
「ありがと〜。う〜ん、おいし♪ 幸せ〜♪」
「それにしても、先輩どうしたんですか? 日焼けしたみたいに真っ黒ですよ?」
フェイの今日の教訓。【火遊びはほどほどが一番】
To Be Countinue....
□ おまけ□
PARを使用してのネタでした。あるコードを使うと、陸戦兵の武器をペイルウイングで使えたりするのです。
……意外とこれが強い。どうせなら共用にすれば良かったのに…(ぉぃ
Comment
いいなあ・・・・・
ぼくもそんなのしたいです
とは言え、まずは遊び尽くしてからの方が良いです。…一応、反則技なので(苦笑)