陸戦兵器改め、歩行戦車ダロガが再びロンドン市街地に出現した。
その知らせに、私はすぐさま現場へと急行した。
そして現場に到着。と同時に市民がこちらへと走ってくるのが見え、少し先の建物の陰から歩行戦車が現れた。
…って、あれ? 何で、私はこの距離に近づくまで何もしてないのだろう。
前回の失敗を踏まえて、私は長距離電撃兵器の試作型サンダースナイパーをかっさらって持ってきている。だから、こんな近くまで来る必要はないのだけど。
なんだか記憶が途切れている。夢遊病の気でもあるのだろうか?
しばし思い悩むが、次の瞬間―――私は目の前の光景を見て思わず息を飲んだ。
「な、なんて事を・・・!?」
その歩行戦車は非情にも、足元を逃げている市民に向けて、問答無用でレーザーを撃ち込んでいたのだ。
爆発に巻き込まれ、吹き飛ぶ市民。
EDF隊員が持っているようなアーマースーツも着込んでいない以上、もう無事ではすまないだろう。
しかし、これ以上の犠牲を増やすわけにはいかない…!!
手にした試作型サンダースナイパーを構えトリガーを引く。銃口から迸った電撃は電撃っぽい軌道を描き―――
歩行戦車に当たらず、すり抜けて行った。
「…………」
あぁ、そうか…。電撃だものね。レーザーみたいに一直線に飛ぶ事を期待しちゃあいけないのね。
気を取り直して撃つ。今度は直撃し、怯む歩行戦車。
なんか微妙。でも、LRSL-33に比べれば…絶対にましだ。まぁ、あれが駄作なだけだろうけどね。
後退しつつ数発を撃ち込み、歩行戦車の一体を沈黙させる。
でも、やられてしまった市民は――――
―――私のすぐ脇を抜けてて、一目散に去っていく。
――――えぇぇぇぇぇっ!?
思わず振り返ると、確かにやられたはずの市民だった。まさかと思いつつ正面を振り返ると、吹き飛ばされて倒れていた市民が立ち上がり、再び懸命に走り出すのが見えた。
試しに、少し遠くにいたEDF隊員を誤射してみたが、怒られてしまったので間違いなく夢でもなさそうだ。
とりあえず、市民は放っておいても大丈夫そうだと言う事がわかった。もしかしたら、私たちよりもタフかもしれない。だってE2プラズマランチャーでふっとばしても、平然と起き上がって逃げていくんだもの。
なんとなく腑に落ちない物を感じつつ、とりあえず私は狙撃に最適な建物の屋上へと上がった。
敵の数は全部で6体。1体はすでに潰したわけだから、あと5体と言ったところだ。
まぁ、結論から言ってしまえば、今回は比較的楽な任務だった。長距離から攻撃すれば、雑魚同然と言う教訓はあながち間違いでもなく、距離を保ちつつの狙撃でほとんど苦もなく片付ける事が出来たのだ。
前回苦戦したのは、LRSL-33が悪かっただけ。本来なら、さほど手強い相手でもないのだ。
そんな相手に、私は一生残る心の傷を刻まれたのだけど。
そうこうしているうちに、最後の一体も黒い煙を噴出し、あと一発で仕留められる状況となった。あとは、このトリガーを引くのみ。
けれども、そこで――――昨夜の夕食時に聞こえた会話を思い出す。
その陸戦兵は、歩行戦車について熱く語っていた。そして、ぜひとも乗ってみたい!!と、声を大にしてまで言っていた。
そんなに良いのだろうか…?
……何も知らずに非難するのは間違っているわよね。
そう考えた私は撃つのをやめ、飛行ユニットを展開して空へと上がった。
陸戦兵ならヘリコプターからの空挺降下でもしなければ無理だろうが、こう言う時自在に飛べると言うのは便利だ。
上空から一気に降下し、一瞬の隙をついて上に乗ってみた。
…あ、なんか楽しい♪
結局、レーザーを撃たれて振り落とされるまで…。上に乗って遊んでいました♪
……帰って、隊長にこっぴどく叱られたけど。
To Be Countinue....
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あのレーザーさえなければ蟻なんか敵じゃないのになぁ・・・
Xでダロガに乗れたら・・・