ついに地下への大規模侵入作戦が始まった。
目標は巣穴の破壊であり、大きな被害が出る事を覚悟しての物である。参加者は全員、手紙を書く事になっていたが、私は書かなかった。
理由は簡単。必ず生きて帰るとの決意の現れである。
そんなわけで必ず生きて帰るため、二日後にケーキバイキングの予約を入れておいた。その日のために、食事制限もして今日までがんばってきたのだ。
それにこの作戦で死んでしまったら、もう二度と友人たちと会えなくなる。
高い場所から景色を眺める事もできなくなる。
ケーキも食べられなくなる!!
しかもこの物語も打ち切り(マテ。
だが、あの作者にしては珍しく続いているこの防衛記録を打ち切りなんて冗談ではない。と言うか、これまで来てくれた読者に悪い。だからこそ、生きて帰るのだ。
そう深い決意を抱いて、地下へと続く縦穴の前に立つ。
地下への潜入経路にここを使うらしく、後続のためにここの安全を確保せねばいけないのだ。
試しに下を見てみると深い。が、高いところ大好きな私には関係の無い事だ。
ちなみに今回、パートナーに任命された彼女は置いてきた。このような場所では狙撃とかできるわけはなく、近接戦の苦手な彼女では、少々…荷が重いと思ったのだ。
で、その代わりなのかなんなのか……。
「ま、よろしく頼む」
「こちらこそ」
ある陸戦兵の方とコンビを組む事になっていた。
「それにしても、ここ深いな…」
そう言って、その陸戦兵が下を覗く。まぁ、普通に考えれば誰だって怖い高さだろう。
「しかし、進化してるって話は本当なんだな。前大戦ではこいつら巣穴とは作らなかったんだが…」
「え?前大戦にも参加してたの?」
「まぁな。あの頃に比べると、今回はさらに手強そうだけどな」
と呑気に言いつつ、彼は手にしたスナイパーライフルとロケットランチャーをチェックし始めた。
「スナイパーライフル?」
「ああ、確実に一発で一匹しとめられるだろ?」
まぁ、確かに間違ってはいない。
ちなみに私はD2プラズマランチャーと久々に中距離レーザーの新モデルLAZR−201を持ってきてたりする。
ともかく、ここにずっといても仕方がないので下に降りる事にした。
「じゃあ、先に行くから」
そう言って飛行ユニットを展開し、下から上ってくる黒蟻へと攻撃を開始した。
「飛べるって良いよな…。俺はこれから黒蟻さんのど真ん中に降りることになるのに…」
一方、陸戦兵の彼はがっくりと項垂れて呟くも、覚悟を決めたのか一気に下の方へと飛び降りていった。
いきなりなんて無茶な…と思うが、人の事は言えないので黙っておく。まぁ、前大戦を生き残ったほどだからそこまで心配しなくても良いだろう。
とりあえず戦闘を開始する。
すでに手馴れた黒蟻が相手だが、さすがに洞窟内の戦闘は勝手が違う。向こうはさすが蟻と言うだけあって、壁でも天井でも歩き回ることができるのだ。そのため、絶えず全部の方向に気を配らなくてはいけない。
見回して何もいなくても、真上にいたりするのだ。
そんな時のための携帯レーダーなのだが……。このレーダー、大体の方向くらいしかわからない代物だったりする。だから混戦では全く役に立たない。ないよりはましだけど。
飛行中はLAZR−201で攻撃。地面を移動する時はD2プラズマランチャーを使用し、上のほうから足場を移動しつつ黒蟻を駆逐していく。
一方、下の方からも絶え間なくライフル音が響き、今だ健在である事を知らせていた。
やがて、一番底へと近づいて行った時。私はすごい光景を見てしまった。
その陸戦兵の彼は、その場で時計回りにくるりと一回転していた。それと同時にライフル音が等間隔に響き、周囲にいた黒蟻がライフル音と同じ数だけ倒れる。
そこからすばやく横へと飛びのきつつリロードを済ませ、上のほうにいた黒蟻を撃ち抜き、すばやく武器を持ち替えて少し離れた位置にいた黒蟻数匹をロケットランチャーで吹き飛ばした。しかもその間…黒蟻の酸に一度も当たっていない。
さすが前大戦を乗り切っただけはある。なんと言うか一つ一つの動きが洗練されてるし、攻撃にも無駄がない。しかも効率も良いと言うケチのつけようもない動きだ。
もはや私が手伝うまでもなく、下の方にいた黒蟻も全て全滅されていた。
「お、そっちも終わったか。怪我はないか?」
「そっちは聞くまでもないみたいね」
「あれくらい前大戦終盤の戦闘やマザーシップの猛攻に比べれば、楽なもんさ。とりあえず、ここの安全は確保できたから連絡するか」
あれだけの乱戦をあっさりと制してなお、かなり余裕の態度で答え、無線機に向かって報告を始める。
それから間もなく後続の部隊がやってきた。
だが、まだ作戦は始まったばかりに過ぎない――――。
To Be Countinue....
□ おまけ□
いよいよ地下侵入作戦開始。そして、今回の相方は強者陸戦兵…。
たまにはちょっと真面目路線でw
でも、陸戦兵にとってはここって本当に大変ですよねぇ…。陸戦兵とペイルウイング両方を使って、飛べるのがいかに便利か実感したステージでもあります。