次の日、朝起きるとすぐに招集がかかった。
何でも一夜の内に巨大な塔が現れたらしく、巨大生物が付近の住民を襲っているらしい。
そこで、EDFに出動命令が下ったわけだ。今回の作戦は、塔を攻撃し巨大生物の牽制する事。
私はすぐに開発部の人と会わないように細心の注意を払って武器庫へ行き、レイピアとイクシオンを装備して出動したのだった。
現場に付いて、まず目に付いたのは塔だった。それはもう、巨大と言うが本当に巨大だ。
どのくらいかといえば・・・
遠くから見て、このくらいの大きさ。普通のビルの何倍くらいはあるのだろうか?
あれが一夜にしていて現れたと言うのだから、本当に驚きである。
とは言え、人類だって負けてはいない。だって、昨日私がE1プラズマランチャー撃ちまくって更地にしてしまったはずの住宅街が全部元に戻っているのだから。
閑話休題。
塔を攻撃して、巨大生物を牽制する。それが今回の作戦目的だ。
けれども、遠くにそびえる巨大な塔を見ていて、に一つの考えが過ぎった。
あそこの一番上から見る風景は見晴らしが良いだろうなぁ・・・。
あれだけ高いのだ。きっと、眺めも良いに違いない。
次の瞬間、私は空へ飛び出していた。空飛べるのだから、上に行くことは何の造作もない。空を飛ぶことはペイルウイング隊の特権なのだ。
もちろん、本当の目的は塔への攻撃と巨大生物の牽制だ。ただ、レイピアやイクシオンじゃ近づかないと届かないしね? だから、近づくついでに上に行ってみるだけなの。本当よ?
エネルギー切れが起きないように何度か着地して、回復させつつ塔に近づくにつれ―――、その巨大さにますます圧倒された。
あぁ、これだけ高かったら、本当に眺めが良さそう♪
昔から私は高いところが好きだった。木の上はもちろん、銭湯の煙突に登った事すらある。ペイルウイング隊に志願した理由の一つにもなっているほどだ。…もちろん試験では言わなかったけど。
やがて、近づいて来る私に気がついたのか、塔の壁面をあるいていた巨大生物が突然、空へと舞い上がった。その様子は、湖から一斉に飛び立つ鳥達の如く。
問題は、その飛び立つ物が全部、羽蟻であることなのだけど…。
そう、羽蟻だ。フラフラと微妙に不安定な飛びかたをしつつ、確実に近づいて来る。その目的は言うまでもない。けれども、負けるわけにはいかない…!!
私はあの高みを目指すのだから…!!
巨大な塔――実はこれが巣らしい――の壁面に添って頂上目指して上昇する。途中で足場を見つけてエネルギーを回復させ、うるさい羽音をたて、やけにトリッキーな動きでこちらを翻弄しつつ酸を撃ってくる羽蟻をレイピアを持って問答無用で薙ぎ払い―――
―――私はついに、その高みへと辿り着いた。
「はぁ……」
街が小さく見える。まさか、これほどの眺めだったとは・・・。
あまりの壮大さに全てを忘れそうになるほどに、良い眺めだった。こんな事なら、カメラを持ってくるのだった…。
しばし感慨にふける。けれども、巨大生物はそんな私の感動を邪魔しようと、再び周囲を取り囲んだ。
あなた達も見なさいよ。すごくいい眺めだと思わない?と平和的に訴えて見ようかと思ったが、言葉が通じる訳がなく、仕方なくレイピアとイクシオンを使っての排除を再開する。視界を羽蟻が遮って邪魔なのだ。
戦闘開始からしばらくがんばって、一時の平穏が訪れた。限り無く沸いてくるかに思えた羽蟻だったが、打ち止めなのか何なのか。急に静かになったのだ。
これで邪魔者はいない。あとは、この絶景を改めて楽しむとしましょうか…。
「地下で異変が起きた。作戦は中断。各隊員はただちに撤退せよ」
「…………」
司令部は非情だった。せっかく、ここまで登ってきたのに――――。
それでも、ここで命令違反をして除隊になっては元も子もない。機会があれば、またここに来れるはず。
後髪を引かれる思いで涙を拭い、その場から空へと飛び出した。そして気がつく。
――イクシオンでエネルギー使い果たして、今は緊急チャージ中だったっけ…。
緊急チャージ。またの名を強制冷却。その間は空を飛ぶ事も武器へのエネルギー供給も止まる、もっとも危険な状態である。もちろん飛行ユニットも動かない。
なぜか時がゆっくりに感じる。そして目前に地面が迫ってきて――――
生きていた。それこそ無事だった。そう衝撃すらなかった。
どう考えても自然法則を無視しているけど、きっとアーマースーツのおかげなのだろうと割り切って、基地に一端もどることにするのであった。
To Be Countinue....
Comment
対戦でインセクトヒルがあれば面白いんだけどなぁ・・・
上に登ってスナイパーライフルで狙い撃ちとか(*´ェ`)
ヘリを使うしかない陸戦兵は圧倒的に不利な気がしますが(汗)