事の発端は、あのインセクトヘル(蟻塚)がいつのまにか再建されていたのが始まりだった。映像を見たEDFはすぐさま攻撃を行う事を決定。
とはいえ、各地の戦力を回すことが出来ない理由から、常識並外れた戦果を叩き出しているペイルウイング隊のフェイを大至急送ってほしいとの報せが入った。
フェイ・ルーイング。
私もその名はよく知っている。ケーキと空をこよなく愛する、不条理なことは許せない正義感の強い子だ。時々しょうもない物を作る開発部への殴りこみはもちろん。前回など、ある種の差別とも言える司令官の言葉にぶち切れて、そっちにも殴り込みに行ったらしい。
後で司令官の様子を見にいったが、見事に痣が出来ていた。まぁ、自業自得だから仕方ない。
とは言え、後で除隊になっては困るので、しっかりと脅迫と言う名の説得をしておいた。実際、そうしても良いだけの結果を彼女は残しているわけだし、あのネタをちらつかせておいたから心配はないだろう。
ともかく彼女を呼んで、すぐに出動するように告げる。
だが、それに対する彼女の返事はNOだった。
「私には……私には出来ません…」
なんでかしらないが、涙ぐんで首を左右に振るフェイ。
一体、何があったと言うのだろうか?
さらに話を詳しく聞いてみると、あそこはとっても眺めのいい絶景ポイントなんです。と涙ながらに訴え始めた。しかもいつも持っているのか丁寧に写真まで見せてくれる始末。
眺めはいいわね。が、それはそれ。
「アレをあのままにしていたら、被害は増えるばかりなのよ?」
「わかってます。でも、どうして私じゃないと駄目なんですか!?」
何でと言われれば、他に人がいないからなのだけど。それを言うと、あとが面倒になりそうなので黙っておく。
それからも説得を進めるが、どうしても首を縦に振らない。
破壊しなければいけない事はわかっているようなのだが、自分の手で壊したくないらしい。困ったものである。
しかし、ここ数日の猛攻でEDFの損耗は増している。
出来る物なら、彼女に出てもらいたいのだが――――。仕方がない。ここは一つ、あの手で……。
「そう言えば、12月24日も近いわね」
「………へ?」
突然の発言に、呆気に取られるフェイ。まぁ、当然だ。全然関係ない話だし。
が、これで良いのだ。問題はその次。恐らく、この一言で彼女は落ちる。
「その日…特別にケーキをサービスしてあげるわよ?」
「…………!!」
それこそ雷にでも撃たれたかのように硬直する彼女。
「あなたは、いつも優れた戦果を残しているから。労いも兼ねてプレゼントしようと思ったのだけどね……」
「…………」
今だ返事はない。でも、私にはわかる。あれは凄まじい葛藤をしている顔だ。
ふむ。もう一押しね。
「あぁ、もちろん。切ってな――――」
「行かせていただきますっ!!!!」
即答だった。まだ言い終わらないうちに。どうやら言わんとする事を悟ったようだ。プライベートじゃ鈍いのに、こう言う事には鋭いのだから。
「じゃあ、行ってきます!!」
「はい、いってらっしゃい」
それから数分後。意気揚々と相棒を引きずって出撃していく一人のペイルウイング隊員がいたとのうわさを聞いた。もちろん、それが誰かは言うまでもない。
さらに行ってしまえば、その日の彼女はM2レイピア一本で全て排除したらしく、その様子はまさに鬼神の勢いだったとか。
でもね、一つだけ言っておくわね。
ケーキ丸ごと食べられるのが嬉しいからって、満面の笑顔を浮かべつつ戦闘するのは止めなさい。相方の彼女が怖がるから。
To Be Countinue....
■ おまけ■
今回は趣向を凝らしに凝らして、出動前のやりとり。しかも隊長さん視点です。
そこ、手抜きなんて言わないの(汗)
ゲーム中の展開のネタがどーしても出てこなかったんです(涙)勘弁してくださいorz
Comment
…が、面倒なのでHPに余裕がある場合は無視です。
確かにこの面、ゲーム中の展開書けなさそうですねー。
前回インセクトヒル崩したときと、シールドベアラー追加しか変わってないですし。
…隊長さん良いです。
もしかすると主人公よりも取り巻きの方が……?(汗)
絶景<ケーキ ということですかw
隊長視点でも十分楽しめましたよ。
次は空挺結集ですかぁ・・・ネタ考えにくそうなので逆に期待(ぇw
空挺結集。困ってます(泣)
DOEOさんありがとうございました