深夜の街に敵の円盤群――UFO――が集結を開始。それらが攻撃を始めるのを阻止するように。
そんな放送で叩き起こされたのが夜の14時。なんとなく、誰も行かなければ攻撃は始まらないのでは…という気もするが、仕方がないので出動する事にする。
以前寝ぼけて武器を間違えた失敗をふまえ、武器は何度も確認。新型の狙撃レーザー兵器のLRSL−34とサンダーボウ10を携帯して現場へと向かう。
いつもの手はずどおり、手身近なビルの上へと降り立って射線を確保。そしてスコープを覗いた。
………今回も一杯いる。けど、円盤だから良しとしよう。
さて、持って来た新型狙撃レーザーはどうだろうか。
開発部の話では、精度が若干落ちたが威力は幾らか上昇したらしい。トリガーを引こうとするが躊躇いが浮かぶ。前回の歩行戦車ダロガの時には接近を許してしまい、散々な目にあったからだ。
思いきって突っ込んだ方が良いのではないだろうか…? いや、大丈夫だ。試して駄目なら、後で開発部に文句を言えば良いのだ。
トリガーを引き、細い光の線が伸びる。やがて、それは突き刺さり、数秒が経過してUFOの一機が撃墜した。
それで気がついた周りのUFOもこちらへと移動を開始する。近づいて来るまでに何機落とせるかわからないが、一機ずつ確実にレーザーを当てて落とす。
思ったより悪くはない。どうやら、この狙撃レーザー。大物ではなく小物用のものだったらしい。もっと早く知っていれば、使い道はいろいろあっただろうに。どうして、開発部はこんな重要な事を言ってくれないのだろう。
そうこうしているうちにさらにUFOが近づいてきたため、狙撃を中断。サンダーボウ10へと持ち直し、夜空へと飛び出した。
闇を切り裂く青白い雷光。火を吹いて落ちていくUFO。あぁ、なんかかっこいい☆
戦闘開始してから、どのくらいの時間が過ぎた時だろうか。
ちょうど飛びすぎて強制冷却状態になり、ビルの陰に隠れてそれを待っていた時の事、仲間同士の通信の一部が流れてきた。
「知ってるか、あの話。EDF本部に伝説の男がいるって」
「おいおい…」
「数百もの巨大生物を屠り、マザーシップまでも撃墜した男!」
「そんな与太話を信じてるのか?」
「この作戦に参加してるらしいぜ!」
「莫迦莫迦しい。そんなことより、今この場を生き延びることを考えるんだな!」
伝説の男。私も話には聞いている。確か、噂ではマザーシップ撃墜と共に姿を消したらしいけど…。
しかもその人がこの作戦に参加していると言う。と言う事は、この当たりにいるのだろうか…?
いや、戦闘中に余所見は禁物だ。まずはUFOを片付けよう。こんな時間帯にいつまでも起きていたら、お肌に悪い。
とりあえず、前回の黒蟻と違い、夜でもしっかり見えるのでさほど困る事もなく、的確に数を減らしていく。さすがに一度に大量に迫って来るというアクシデントもあったため、集中砲火を浴びてちょっとやばかったけど。
それほど苦戦をする事もなく、UFOの一団を全滅させることに成功した――――そう思っていた。
「きゃっ!?」
不意に後ろから何かに突き飛ばされて昏倒する。気がつけば、UFOが一機低空飛行で通り過ぎていくのが見えた。おそらく偶然だろうが、跳ねられてしまったらしい。
こ、この当て逃げーっ!!
と、非難しようとしたらすぐに向きを変えて戻ってきた。どうやら良心はあるらしい。―――訂正。単純に攻撃しようとしてるだけだろう。
すぐさま飛行ユニットを展開しようとしたがユニットが起動しない。さっきの衝突で壊れてしまったらしい。
しかも、今までどこにいたのか真上からもう一機。
ピンチ。なぜなら、飛行ユニットの動かないペイルウイングは「良い的」なのだ。ユニット装備中はいつものように走れない。
だって重いから。
隊員に重量制限をするくせに、なんでこんな重い物を持たせるのだ全く。
しかし飛行ユニットが動かないと言う事は、プラズマエネルギーユニットも壊れたと言う事。つまり攻撃も出来ない。このまま、どうすることもなくやられてしまうのか…。どうせだったら、最後にケーキをお腹一杯食べたかった。
覚悟を決めて目を閉じる。
……ドンッ
そんな音が響き、目の前のUFOが火を吹いて落ちる。
続けてもう一発。今度は真上のあたりにいたUFOが破壊されて墜落する。
一体、何が?
周囲を見回し、遅れて響いたライフル音の聞こえた方へと振り返り、スコープを覗く。
屋上へと続く階段の出入り口の前に、誰かがいた。
照明が逆光となってるのと距離が遠いせいで見えにくいが、確かに誰かいる。
じっと見ていると、その人物はすぐに建物の裏へと見えなくなり、結局それが誰なのか確かめる事は出来なかった。
でも、よくよく考えればあの距離から、動いているUFOを狙い撃ちして仕留めるなど、簡単に出来る事ではない。まして、こんな夜の時間帯なら特にだ。
と言う事は、もしかしたら今のは――――あの伝説の…?
―――――ホントにいたんだ(汗)
To Be Countinue....
■おまけ■
夜間のUFO戦。あまり夜間の意味がないようにも思えるのは自分だけだろうか?