「巨大生物が出現した。各隊員は、すぐに現場に急行せよ」
突如として鳴り響く放送に叩きこ起こされる。目を覚ますと、まだ周りは真っ暗だった。
時間帯は深夜。良い子はみんな眠っている時間だ。
さすがは地球侵略を企むと言う悪いことをかんがえるだけである。良い子じゃないから、深夜でもお構いなしなのだ。
もちろん、私も良い子だから気持ちよく眠っていた。え?住宅街を吹き飛ばしたり、ビックベンを吹き飛ばしたりしたのはどうなるのかって? あれは不可抗力だから良いの。
どうも以前と違い、今回はどうも昔よりも進化しているらしい。
昼間だけでなく夜も活動できるようになっただけの事を進化と言って良いのかは、非常に気になる事だけど。それを聞いた隣の隊員は、隊長に後で呼び出しを食らっていた。
まぁ、いずれにせよ、ケーキを食べる夢を妨害した連中を許す事は出来ない。
決意も新たに武器庫へと進む。今日は何を持っていこうか・・・と考えながら歩いていると、武器庫の入り口に開発部の人が立っていた。
「よく来た♪ 君がちょうど20番目だ!!」
「は、はぁ…」
それこそレストランで何人目のお客さんと言わんばかりのノリで笑顔を浮かべる開発部員。
はっ、しまった!?これは罠だ!! そう言えば、あのキング オブ 駄作たるプラズマグレネードAもこの手で渡されたんだった!!
「そんな君に、正式採用される予定の装備を特別に進呈しよう♪ 試作型誘導兵器ミラージュ・ゼロだっ!!」
「……いりません」
「あぁ、そんな殺生な!?』
前回の事もある。私はすぐに断りを入れ、横をすり抜けて武器庫へと入っていった。
それから、十数分後。現場に辿り着いた私は、絶望のふちに立たされていた。
あるのは得体のしれない新兵器のみ。
心なしか、どんよりと周りまでもが暗くなって見える。あ、今は夜だったわね。
ともかく非常に気が重い。もしかして、私はここで終わるかも――――。
開発部は非常の極悪な手を使ってくれた。武器庫には、たった一つの武器を残して何もなかったのである。それを選ぶ以外に選択肢はないと言わんばかりに。くっ、なんて悪どい手を…!!
そのまま出撃を見送ろうとしたが、隊長に見つかり、襟首掴まれて引きずられ、強制出撃されたのは言う間でもない。
帰ったら、開発部潰してやろうかしら…。
ふつふつとこみ上げる怒り。だが、図らずもそれが生きる気力となる。
まずは生きて帰らなければ。そのためには、巨大生物を片付けなくては。
人間、やれば出来るという。だったら、やってやろうじゃないのっ!!全てはにっくき開発部を倒すためにっ!!
今回出現したのは黒蟻だった。まぁ、黒蟻自体は問題ない。
けれども深夜という時間帯に、黒蟻と言うのは酷である。なんせ、保護色となってほとんど見えない。しかも、夜間戦闘なのに暗視ゴーグルは愚か、懐中電灯の一個もないのだ。
それでも救いもあった。一つは、街の明かりがついていたことだ。
そりゃあもう、深夜とは思えないほど点けっぷりで。
↑深夜の街並み
もしかしたら、平日の夜よりも明るいかもしれない。たぶん、明かりのついていない場所は一つもないだろうと、思えるほどのものだった。
まぁ、結果として蟻を視認することができたので、細かいことは突っ込まないことにしておく。
そして、もう一つの救いが――――開発部の陰謀によって持っていくはめになった新兵器だった。
ミラージュ・ゼロ。この武器はもっとも自分に近い対象を自動的に捕捉し、追尾レーザーを撃つ事のできるも優れものだったのだ。
その結果、闇に紛れて蟻が見えなくとも半自動的に狙ってくれるため、見えにくいと言うハンデはあってないようなものだったのだ。
その性能はかなりのもので、真後ろから近づいていた黒蟻ですら撃ち漏らさなかったほどだ。
今回の作戦は、まさにこれのおかげともいえるだろう。だってトリガー引いておくだけで勝手に倒してくれるんだもん…。
どうやら開発部に対して……、私は少し見方を変える必要があるようだ。てっきり役に立たない物ばかり作ると思っていたが、便利な物も作れるのね…と。
試作型のミラージュ・ゼロで、この性能の高さなら…。正式型はどうなるのかちょっとばかり楽しみだ。
ともかく、こうして今回も無事に作戦を終えた私は、開発部への恨みは水に流し、基地へと帰還するのであった。
さぁて、あとは寝むって夢の続きでもようーっと♪
その日。次に見た夢は黒蟻にケーキを食べられる…という物だった。
To Be Countinue....