地下に広がる巣穴を完全に破壊した。
これによって巨大生物の脅威は完全に去った―――と思われていたのだが。
巣穴のさらに深くから巨大生物の群れが地上へ向かっているとの報告があり、EDFは現地へと部隊を派遣する事を決定した。
だが、時を同じくして―――――その場に居合わせた一台の戦車がいた。
元第72戦車隊3番車輌。かつて、攻撃を反射する強敵と遭遇し、苦心の末に撃退。そしてその後の被害状況に真っ青になって逃げ出したあの戦車である。
そして、今――彼の乗るギガンテスは、まさにその巨大生物の出現する地点にポツンと一台いた。
ちょうどチューンナップの成果を試そうと、勝手にギガンテスを持ち出してドライブ中だったのだ。
何も知らない彼が気がついたのは、ちょうど目の前を「ソレ」が横切ったのがきっかけだった。
「………うわぁ」
それを見た第一声がこれ。それもそのはず、目の前にいたのは今まで見たことのない巨大生物だったのだ。
一番手身近な物で言えば、ムカデだろうか? 小さくても気持ちの良い物ではないが、ここまでデカいとさらに気持ちが悪い。というか、怖い。
しかし、ここで引く彼ではなかった。ここであったのも何かの縁。もし、これらを戦車一台で全滅させれば、さらに評価が上がるかもしれない。
一度決心するとあとは早かった。躊躇うことなく主砲の120mmキャノンを叩き込む。
さすがにデカイだけあって直撃。しかも鏡円盤と違って撃ち返される心配もない。
「どうだ。これがギガンテスの力だ!!……ってなに!?」
まずは一匹と思わず笑みを浮かべたが、巨大ムカデはそんなに甘くはなかった。直撃を受けて吹き飛ぶも、今だ健在だったのだ。
「くそ、なんて硬さだ…」
生物なのに予想以上に硬かった事に舌を巻きつつ、さらにもう一発を叩き込む。
さすがに二発目は耐えられなかったらしく、直撃を受けた部分が吹き飛んだ。………が、敵はさらにその上を行くものだった。
「………嘘だろ…。っていうか、やばい!?!」
直撃を受け爆風の影響も受けなかった部分がちぎれて、こちらへと向かって来たのである。
さらに突然、酸が上から雨のように降り注ぎ、慌ててその場からバックして回避。その場からフルアクセルで後退しつつ、再度主砲を叩き込んで仕留める。
「これで一匹…。いや、8匹なのか? どっちでもいいか…」
とりあえず戦車の外に出て、どういう原理かは一切謎だが修理用にと渡されたリペアスプレーで損傷を直しつつ考える。
どうやら、パッと見は一匹だが…実は何匹もの巨大生物が繋がって一匹と化しているらしい。だから、一部を倒しても残りが無事というわけだ。
しかし、思う。かつての鏡円盤に勝てたのだ。決して勝てない相手ではない。
要は黒蟻とかが列をなして動いていると思えばいいのだ。突然ジャンプしたりして、少々当てにくいが必ず勝てる…!!
誰もいない中、一人固く拳を握り…頷く。そして残りのグループを片付けるべく再び彼は走り出した。
それから30分後。
彼は、たった一台で辛くも勝利を収めることに成功した。途中で見かけたガスタンクも駆使しての結果だ。
「勝ったぞ…!!これで、戦車の評判も―――――」
そこまで言いかけて彼は気がついた。
またしても廃墟と化した街並みに。
今回のインベーダーの攻撃は【酸】。つまりどう考えてもインベーダーの手によるものではないことは間違いない。
「…………」
しばしの沈黙。そして彼は再び戦車を走らせ始めた。今回は明らかに逃亡である。
これがEDFが現場に到着する、1時間前の話であった。
To Be Countinue....
□ おまけ□
戦車オンリー第二弾。さすがに楽でした。…リペアスプレーは持ってったけどw
それはさておき、初めてここのステージに来た時。敵のあまりのインパクトにしばらく固まってしまったのはここだけの話です。
でも、これが予兆に過ぎなかった事をすぐに思い知る事に……