地底から出現し続ける巨大生物によって、市街地が占拠されEDFはただちに奪還作戦を行う事になった。
なんでも地下の巣穴の出入り口が多数確認されたらしい。どうやら一度に出せば良いのにと言ったのを採用してくれたらしい。
ともかく、今回はその出入り口を全て破壊して増殖を食い止める…と言う物なのだが―――。
「先輩。今回もよろしくお願いします」
「…お願いだから敵と一緒に吹き飛ばさないでね」
前回チームを組んだペイルウイング隊員と、再び組む事になっていた。
とりあえず、相手の武装を確認する。LRSL−39とミラージュ・ゼロだ。…まぁ、これなら吹き飛ばされる心配はないだろう。
ちなみに私の装備はレイピアとD2プラズマランチャーと言うプラズマランチャーの最新モデルである。
今回確認された巣穴の出入り口は4つ。そして、なぜか作戦開始と同時に目の前にある巣穴を二人がかりで速攻で潰す。
「先輩。なんで、この距離に近づくまで私たち何もしなかったんでしょう?」
「……なんでかしらねぇ…」
正直、自分でもわからない。そう言えば、前にもそんなことがあった気もするが注意力が足りないんだろうか?
さしあたり目前の脅威を払い、残り三つの巣穴への対策を練るために、目の前にあった展望ビルの上へと登る事にした。
「いつもの事ながらたくさんいるわね」
「そうですねー。赤蟻さんに、羽蟻さん、あと蜘蛛さん―――」
「違う。蜘蛛じゃなくてバゥ」
「え?でも、あれはどう見たって蜘蛛さん――――」
「似てるけど違うの。あれはバゥって名前なの。嘘だと思うなら、帰ってデータベースで調べてみなさい」
「……わ、わかりました」
危なかった。蜘蛛バゥは蜘蛛バゥだ。それとは違う物と認識してしまったら、何をするかわからない。まして、誰かの前でトランスなり暴走なりするわけにはいかないのだ。
「じゃあ作戦を立てるから、よく聞いておくのよ。私が突っ込むから、あなたが援護。良い?」
「……わかりやすい作戦ですねぇ」
「難しいのより良いでしょ? それじゃあ、まずは羽蟻から行くわよ」
今回も巣穴優先で潰すようなまねはしない。一個ずつ潰して行くのだ。
飛行ユニットを展開し、空高くからD2プラズマランチャーで急降下爆撃を仕掛け、巣穴周辺の羽蟻は吹き飛ばして着陸。速攻で巣穴を破壊する。
周辺の羽蟻は、彼女が展望タワーからの狙撃が落としてくれているため、比較的ダメージもない。
最近気づいた事なのだが、この羽蟻。普段は酔っ払いみたいにフラフラフラフラとこちらのストレスを溜めるような飛びかたをするが、ちょっとでもダメージを受けると地面に墜落してしまうのだ。
どうやらあの飛び方は、単純にバランスが悪いだけだったらしい。まぁ、あれで意図的に狙って飛んでたら、それはそれで怖い気もするが。
「次、蜘蛛バゥの方に行くわよ」
「わかりました!!」
続けて蜘蛛バゥの巣穴へと向かう。
今度は特攻せず、近づいて来る蜘蛛バゥを少しずつ片付けながら進んでいく。特攻しても良いのだが、囲まれると本当に危ないのは、今までの経験からも良く知っている。
やがて蜘蛛バゥの数が減りだしたところで、一気に巣穴に取り付いてレイピアで破壊。少しばかり糸が飛んでくるが、やはり支援狙撃の効果は絶大だ。
「先輩、あと一つですよ!!」
「さ、この調子で良くわよ!!」
続けて赤蟻も、ほぼ同じような方法で進んでいく。
どうやら彼女…爆発物さえ持たせなければ安全なようだ。シミュレーションの時も何度吹き飛ばされたが、スナイパー向きだったらしい。
現に狙撃の成績は非常に良かった。なんせ、狙撃の際にスコープも覗かずに当てて見せるのだ。聞いてみたら、両目とも7.0らしい。一瞬、何処の未開地の出身かと聞きたくなったのは、ここだけの話だが。
いずれにしても、どっちかというと突っ込みがちの私にとってはありがたいかも―――――。
「―――――っ!?」
突然、狙撃レーザーの熱が頬を掠めた。レーザーその物が掠めたら火傷だが、ちょっと熱を感じた程度なので問題はないとはいえ、心臓には悪い。
「あ、ごめんなさい!?手元が狂いました」
「次は、気をつけてね…」
通信機から届く心配そうな声に大丈夫だからと答え、隙を見て巣穴を破壊に飛ぶ。
巣穴への直接狙撃の助けもあり、無事に破壊。残るは赤蟻が数匹…。
止めを刺すべく一気に近づく。そして、今まさにレイピアを叩き込もうとしたその時。
爆発した。何が起こったのかもわからないまま宙を舞う。今回は爆発が小さかったのもあって、滞空時間は更新しなかった。やがて例によって地面に墜落。
一体何が起こったのだろうかと、起き上がりつつ周囲を見回す。今回、爆発する要因は何もないはずだ。ダロガもいないし、プラズマランチャーの類も持たせていない。少なくとも自爆するほど、私も間抜けじゃない。
「だ、大丈夫ですか?!」
ふと振り返れば、心配そうな顔で着地した彼女がいた。本当に心配してたと言う事は、その表情を見ればすぐにわかる。
そんな彼女を見て、苦笑を浮かべつつ答える。
「アーマースーツの丈夫さは知ってるでしょ? あのくらい平気――――」
答えようとして、気がついた。彼女の手に握られているミラージュ・ゼロを。
そういえば、これも炸裂型だったっけ……。
………誤射しない武器だとは思って油断した。一番近くをホーミングする特性があるのだから、それと同じ敵を狙えば巻き込まれる事もあっておかしくはない。なんせ、自分で敵を狙えない武器なのだ。
けれども、まさかこうもうまい具合にタイミングが重なるとは…。
でも、一つだけわかった事もある。
インベーダーよりも仲間の方が危険かもしれない。
あの英雄が一人でマザーシップを落とした理由は、もしかすると――――
To Be Countinue....
□ おまけ□
2Pでは稀に(頻繁に?)起こる誤射・誤爆事故。
武器によっては仕留められる事もあるので、意外と笑えません。やられた方は。
場合によっては、こっからインベーダーを無視した戦闘に発展する事もあるという話ですが、この物語ではそれはないのでご安心を。