時は年末。
そして、その時期、誰もが行う年末恒例行事―――『大掃除』。
その呪縛から逃れる事のできるものはなく、例えインベーダーが来てようとも関係ない。
この日、EDF本部にある開発部でも、大掃除なる物が行われていた。
「主任!!この失敗作グレネードはどうしますか?」
「ん? あぁ、それはHG−13Bの試作品か、懐かしいなぁ」
「確か、重くて飛ばないHG-13Aの欠点を解消すべく作りましたよねぇ」
「だが、あまりに軽くしすぎて投げたら空に飛んでいってしまうという、とんでもない物だった…」
「しかも、威力は既存のかんしゃく玉一個分…。なんでこんなの作ったんでしょう?」
「それが若さというものさ。まぁ、燃えないゴミにでもまとめとけ」
「お、おい落とすなよ…? それ落ちたら、この研究室くらいは消し飛ぶんだぞ?」
「こ、こんな重い物が、よく…あんな低速で飛ぶなぁ…(※1)」
「知ってるか?INF世界じゃ、これよりさらに低速で飛ぶ強力なミサイル(※2)があるらしいぞ?」
「それって……歩くよりも遅く飛ぶことじゃないか。すごいな…」
そして、大掃除というものは、時として思わぬ掘り出し物なんかが見つかる時でもある。
「主任!!こんな所に、INF世界から送られてきた武器設計図が!!」
「なになに? ちょっと見せてみろ。サンダースナイパー系統の武器のようだが……な、なんと!?」
「どうしたんですか?」
「これはすごいぞ。すぐに開発スケジュールに組み込もう」
「誰だよ、こんな所にロケットランチャーを転がしてる奴は――――」
「なに? ないと思ったら、そんなところに――――」
「なんですか?これ」
「INF世界から送られてきたボルケーノ6Wの試作モデルだ。これを作る際に、こちらの作った3Aの技術を提供して、お礼に送ってきたんだ。結構すごい武器だぞ?」
「じゃあ、量産ラインに乗せましょう」
「おお、それはいい。すぐに手配してくれ」
さらに言えば、いろいろとアクシデントも発生したりする。
「あれ?これは?」
「あ、馬鹿っ!!それはサッカーグレネードだぞ!?う、撃つなーっ!??!」
「い、いかん!!全員5秒以内に退避しろーっ!!」
―――ダダダダダダダッ!!!!
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!」
「だ、誰だこんな部屋の中でバウンドガン(※3)なんか使いやがったのはっ!!」
「すみません!!安全装置が外れてたんです!!」
「くそっ!!出やがった黒い悪魔めっ!!」
「主任!!殺虫スプレーがありません!!」
「落ち着け!!確か司令官が買ってきていたはずだ!!すぐにもらって来い!!」
「持ってきました!!くらえーっ!!」
「目標沈黙!!……ふぅ、インベーダーがこいつを巨大生物にしなくて良かったとホントに思いますね」
「確かにな。……そう言えば、巨大生物も所詮は虫。なら、殺虫スプレーも利くんじゃないだろうか?」
「さすがにそのままでは無理では?」
「もちろんこのままじゃ無理だ。だが…うまくいけば、最強の武器になるかもしれんぞ?」
「じゃあ、担当を決めてただちに研究に入りましょう」
結果から言えば、なかなか進まないのも大掃除の醍醐味である。
そして年末の忙しいこの時間も、確実に過ぎて行くのである……。
※1
スカイタートルと呼ばれる強力なミサイル。威力は高いし誘導性能も高いが、弾速が遅く陸戦兵が走るよりも少し早いくらい。ただ、ものすごくがんばり屋で、撃つと懸命に敵を追いかける健気な姿を見ることが出来る。通称「どん亀」
※2
スカイタートルシリーズの最強ミサイルで、名前はリヴァイアサン。でも所詮はスカイタートル系で、歩くよりも遅く飛ぶミサイル。最新技術をこんな事に駆使するあたり、開発部はどこかおかしい。しかしながら威力は40000と恐ろしく高く爆発範囲も広いため、当たれば強力。
※3
バウンドガン。壁に当たると跳ね返る弾を撃つアサルトライフル。洞窟なんかで使うとすさまじい性能を誇るため、地球防衛軍2では株が一気に上がった武器。ただし跳ね返った弾は自分にも当たることがある。
■おまけ■
すごく久しぶりな番外ミッション。開発部はドラマの塊だったりします。