>せいろさん・藤井さん・ナカさん・春巻さん・シオカラさん・ブラックリボルバーさん
励ましのお言葉ありがとうございます。できるだけ期待に応えられるよう張りきりたいと思います。キツくなってくるのはこれからです。(笑)
それにしても、4年間サイト続けてきて知らない人から反応をもらえたのって一度しかなかったんで、こんなに応援メッセージもらっちゃうとどうしても舞い上がってしまいます。にへら。
08:戦機襲来
円盤戦を乗りきれなかった俺は、マザーシップを追った。もう許さねえ。この俺が叩き墜としてやる。
途中、息絶えているEDF隊員を見つけた。どうやらこの隊員は死んだらもう動けないようだ。親もあれば子もあっただろう、遠く離れた異国の地で志半ばに倒れるのは、どれほどの無念であろうか。
俺は彼にひどく同情した。親兄弟ならまだしも、チョビを遺して逝くなんて考えられない。
ふと、彼が持っていたロケットランチャーが、俺のと微妙に形が違うことに気がついた。エンブレムのモデルナンバーを見ると、「ゴリアスD」と書いてあった。
ま、まさかこれ、ゴリアスの新型か…!
俺はゴリアスDを肩に担いで具合を確かめると、持っていたゴリアス1をそっと彼の脇に置き、マザーシップの追跡を再開した。うしし。ラッキー!
ちょっと道草してしまったのでマザーシップとの距離が開いてしまった。しかし奴は馬鹿でかいだけに見失うことはない。橋に差しかかると、テムズ川沿いを進むマザーシップとの射線が通った。今がチャンスだ!
俺は怒りのゴリアスDをぶっ放した。まずはあの危険な棘を狙わねばならない。あんな爆発に巻きこまれたら、俺とて無事ですむわけがない。
しかし、奴はまだ隠し球をもっていた。遠くから砲撃してくる俺の存在を察知してハッチを開いたマザーシップは、性懲りもなく円盤を出してきたかと思いきや、物体を落としてきた。そして投下された物体は地上に降り立つと、そのままこっちに向かって歩き始めたのだ。その数、3機。
マザーシップは動きを止め、その成り行きを見守る構えのようだ。
【私を倒したければ、まずは彼らと戦いたまえ】
まるでそう言っているようであった。
その意気やよし、やってやろうじゃねえか。
俺はマザーシップに向かって容赦のない砲撃を再開した。
さすが新兵器、変な輪っかやら棘やらがぽろぽろ抜け落ちる。これはいい。
【ちょ、おま、ずるいぞ!】
まるでそう言っているようであった。
知ったことか。
ところで、アレはなんだろう?
なんであんなところに水没してるんだろう?
そうこうしているうちに、やけにスリムな小型ビグ○ザム足の生えた円盤が近づいてきた。よく見ると触覚のようなものが生えている。おまけに股間から破廉恥なものをぶら下げている。うわ、恥ずかしい。
破廉恥な部分を狙ってゴリアスDをぶちこむと、すっごい痛そうに身をよじった。やっぱりあそこが弱点か。アソコだけあるな。続けざまに連続砲火を浴びせたら、さすがに怒ったのか触覚が光り出した。うわ、もしかしてやべえ?
触覚から光線が放たれ、たちまち爆発が起きた。巻きこまれこそしなかったものの、意味もなく橋の欄干の上に乗ってた俺は足を滑らせて川に転落してしまう。
テムズ川は水路にも満たない浅さで溺れることはなかったが、面倒なことになった。舌打ちしてAS-18で応戦する。ビームの射速は遅く避けるのに苦労はしない。
ハッ!そんなもんで俺を倒せると思うなよ!貴様らなんぞ、このへなちょこライフルで充分だ!水に濡れても撃てるEDF特製の弾丸をとくと味わうがいい!
ところが、そこで予想もしなかったことが起きた。奴らの破廉恥な部分が回り始めたのだ。ええっなにそれ、武器だったの!?
ちっ、まんまと一杯食わされたってわけか。こいつら、この時を待っていやがった。この距離では避けようがない。うわ、もしかしてやべえ?
その時、一瞬ではあるが、焦りまくる俺の視界の片隅に例のアレ──水没したバイクが映った。銃が水に濡れても撃てるなら、バイクは水の中を突き進めるはずだ。
考える間もなく飛び乗ると、案の定バイクは当たり前のように走り出した。機銃の雨を背に、俺は余裕の笑みを浮かべる。そんな攻撃で移動目標に当てられると思ってるのか素人め!俺って無敵!
ひゃっほう!股間すり抜けだぜベイベー!
俺って怖いものなし!
俺って格好いい!
そのままマザーシップの真下へ潜りこんだ俺は、棘に向かって攻撃を再開した。もし今あのすっげえ弾を撃たれても、バイクがあれば余裕で逃げられるって寸法だ。
ヒャハ!抜けろ!抜けろ!
なすすべのないマザーシップを徹底的にいたぶりつつ、後ろからの3機が接近してきたら川から脱出する。なんて完璧な作戦。
俺って天才すぎて反吐が出そうだな。
この作戦には致命的な問題があった。
自転車も満足に乗れない俺がバイクを乗りこなせるわけがない。
今後の反省に活かそう。
宙に吹っ飛ばされながら思った。
幸い、EDF特製のアーマースーツはこれしき程度ではびくともせず、俺は無傷だった。バゼラートから落ちても無傷だったのはこいつのおかげかもしれないな。ありがたやありがたや。なんまいだぶなんまいだぶ。
だが、困ったことになった。これでは逃げきれない。後ろからは不気味な足音が近づいてくる。
おそるおそる振り返ると、そこには意外な光景があった。
奴ら、川から上がれないらしい。
ウヒヒ。形勢再逆転だな!
だいたい、なまじ脚なんか生やすからそんなことになるんだ。あんたらのお偉いさんはその辺のことがわかっちゃいなかったんだな。
皮肉たっぷりの微笑みで俺は冷たく呟いた。
「あばよ」
文字通り手も足も出せず、奴らはまとめて大爆発を起こし擱座した。ざまぁみやがれってんだ。
………。
…………。
そこの右の奴、いつからそこにいましたか。
もしかして馬鹿には見えないってアレですか。でも、今は見えてるってことは俺ってやっぱり天才なのかな?
爆発に吹っ飛ばされながら、そんなことを思った。
その頃、ヒースロー空港ではどよめきが起こっていた。EDF要人の送迎に用意していたバゼラートが何者かに盗まれ、厳戒態勢が敷かれていた。
犯人である俺はそんなこと露も知らず、新手の奴と死闘を繰り広げていた。
マザーシップはいつの間にか逃げていた。