HDキャプボ撮り比べ

2008.6.3.Tue

このページに書かれていることには誤りを含んでいる可能性があります。
そこまで深くつっこんでるわけでもなければ専門知識もなく、ネットの情報や実際の使用感をもとに書いてますので、あくまで参考程度にお考えください。

実際のキャプチャ

お友達2人がそれぞれPV4とHARROCを買ってHDキャプチャーボードが3種揃ったので撮り比べてみました。
画面はXbox360で好評配信中!なエグゼリカのタイトル画面。

[ エグゼリカのタイトル画面を撮り比べ ] 1280×2160 / 3.6MB / ロスレスPNG
色々でかいので低スペックPCの人はご注意。

一部分だけ切り抜き。

[ HDRECS ] [ PV4 ] [ HARROC ]

まんべんなく綺麗なHDRECS&PV4に比べて、HARROCは少しぼやけた感じがします。

HDRECS

[ HDRECS ] Canopus 公式サイト

  • PCI-Express接続
  • 問題なく綺麗
  • ハードウェアエンコード
  • D4・HDMI・VGA・S端子・コンポジット、なんでもキャプチャ可能
  • 高すぎ(実売9.5万円)
  • 付属のソフトがお粗末
  • プレビューがボケボケ(録画は綺麗)

いわゆる高嶺の花。よほどの覚悟がないととても買えたもんじゃありません。
なんでも万単位もするお高い部品を使ってるそうで、それがそのまま価格に反映されてるようです。ぶっちゃけ「ちょこっとゲームを録画したいなー」程度の動機で手を出せる代物じゃないです。

ハードエンコのおかげで要求スペックは一番低く、Pentium4-2.8GHz程度のCPUでも動きます。ソフトエンコだったら最低でも2.0GHz*2以上のCPUが必要です。
ただ、エンコードによる負荷はほとんどないもののHDへの書込処理などもあるので、リソースはそれなりに食われます。

録画ファイルは普通のAVIで、AviUtlやVideoStudioでそのまま編集できます。CODECはCanopusHQという独自CODECで、テレビ業界でも多く使われている高品質CODECらしいです。
初心者でも簡単に扱えますが、一昔前のテレビキャプボのような統合環境ではなく、録った動画をあれこれしたいという場合は相応の勉強が必要になるでしょう。録ったものをそのままニコニコに上げてお任せエンコードはできません。(というかそのまま上げられるようなかわいいサイズじゃない)

プレビュー/録画は(現時点では)付属ソフトのHDRECORDERでしか動作せず、ふぬああなどは使えません。しかも、まさに「ついてるだけマシ」といった程度の簡単な作りで、PCastTVとかを使ったことがある人はそのシンプルさに驚きます。
それでも必要な機能は揃っていて、実際の運用に困ったことはないですけども。

最大の欠点はプレビューの汚さです。法外な値段は仕方ないとしても、これはいただけません。
PV4との比較画像(928KB)
素人でも一目でわかるほどボケボケです。一番多い用途であろう「プレビューでゲームしつつ同時に録画」には向かないです。分配機を使って「テレビでプレイ+PCで録画」みたいな環境にしないとつらいでしょう。

D4を分配するならセレクタと分配機を兼ねた4入力3分配のSB-RX300Dがゲーム機やレコーダーを色々繋げられて便利。パラレル出力対応で「PS3をテレビでやりながらXbox360をHDRECSで録画プレイ」といった芸当もできます。

■ドリームプラン
レコーダー等┐
PS3 ────┤
Xbox360─SB-RX300D┬─D4<=>コンポーネント変換ケーブル─HDRECS─PCモニタ
         ├─テレビ
         └─レコーダー等

PCのモニタにVGA入力やDVI-I入力が2つ以上ついてるなら、VGA分配機を使ってひとつのモニタでお手軽に綺麗プレイ&裏で録画ができます。

■エコノミープラン
Xbox360─VGAケーブル─VGA分配機─PCモニタ入力1(必要に応じてDVI-I<=>VGA変換コネクタ)
              └HDRECS(VGA) ─┬─PCモニタ入力2
PS3(綺麗プレイは不可)────HDRECS(HDMI)─┤
レコーダー等 ────────HDRECS(D4)──┘

HDRECSはSDKが公開されているから、いつかはどこかの有志が素敵なツールを作ってくれるかも?

なお、買いたいけどもし動かなったら損失がでかすぎる…って場合はお試しサービスというのもあります。3150円で2週間借りることができます。クレジットカードが必要になりますが、高すぎる買い物だけにうまく利用したいものですね。(俺が買った時はこんなサービスなかったけどね!)

参考:HDRECSの録画ファイル

支部動画の公開版は30FPSですが、編集前の元ファイルは60FPSで気持ち悪いくらいぬるぬるしてます。
※再生にはCanopus Codec Option(CODEC)が必要です。解凍してからCanopusCodecOption\SetupFiles\Setup.exeを実行してインストールしてください。
[ Download ] 地球防衛軍3 インフェルノ14:要塞リプレイ(20秒/246MB/Fine設定)

PV4

[ PV4 ] PV4 公式サイト

  • PCI接続
  • D4を2系統入力(Xbox360とPS3を同時に繋げられる)
  • HDRECSに並ぶ高画質
  • DVエンコード支援で低負荷録画(AviUtlプラグインで読込可能)
  • なんとか手が出せる値段(実売2万円)
  • 入手が困難
  • 接続がPCIなのでバス帯域をかなり圧迫する
  • 音声入力が光だけ

一番バランスが取れているHDキャプボ。ハイデフキャプチャに興味がある人なら名前を知らない人はいないんじゃないでしょうか。
しかし需要とは裏腹に、製造元のアースソフトが個人レベルの小さな会社であるせいか出荷数が極端に少なく、PV3の頃は転売屋が出るくらいのレアアイテムでした。今は流通量も増えたようで昔ほどには苦労しないものの、それでも店に行ってほいっと買えるような状態じゃないです。(これを書いてる時点では三月兎に在庫があるようです)

PV4はHDRECSと違ってプレビューが綺麗で、そのままプレイ&録画が可能です。プレイはテレビでやりたい!とか言い出さない限り分配機は不要です。
録画した動画はDV形式で、搭載チップによるエンコード支援のおかげで録画にかかる負荷はかなり低いです。
しかしDV形式を開けるソフトは少なく、あらかじめ用意されているのは付属ソフトとAviUtl用のプラグインだけです。他の編集ソフトを使って細かく編集したいなら、AviUtlでいったんAVIに変換する必要があります。(ロスレスのHuffyuv形式がいいでしょう)
一応リアルタイムAVI録画もできるものの、エンコード支援を受けられないのでCPU負荷がかなり高くなり、Core2Duo-E6600環境ではプレビューがコマ落ちしたりするそうです。
動画の経験があれば扱いは簡単な方ですが、CODEC?なにそれ?AviUtl?おいしいの?動画?やったことねーよ!な人はちょっと予習が必要かも。

あと、音声入力が光だけという変則的な仕様です。いつもの赤白コードは使えません。幸いXbox360は全ケーブルに光出力が標準装備なので問題ないですが、PS3とかはどうなんでしょう。

一番の注意点は、接続が旧形式のPCIであることでしょうか。物理的に収まればどんなデスクトップPCにも装着できる反面、使用中は(録画してなくても)バス帯域を占有してしまいます。USBもPCIバスに接続されてるので、特に外付けHDDには気をつけないといけないかも。
なんでも少数生産のPV4ではPCI-Eに対応しようとするとコスト的な問題で値段が跳ね上がるとか。

HARROC

[ HARROC ] 公式がない?のでGoogle検索

  • PCI-Express接続
  • 激安(8000円程度から入手可能)
  • 画質は若干劣るがS端子などの旧世代規格に比べれば天地の差
  • 付属ソフトが一切ない
  • 音声入力がない
  • ハード設計に問題があり、画質に悪影響を与えている

価格の安さだけが取り柄的なHDキャプボ。ネットでは地雷扱いになるほど作りが粗く評判は散々ですが、1万円でお釣りがくる激安っぷりは選択肢としてアリでしょう。
画質は少しぼやけた感じになるものの、この程度なら他形式に圧縮したらわからないと思います。ニコニコサイズにまで縮めたら完全に判別不能じゃないかと。

また、付属ソフトが一切ついてこないという初心者完全切り捨て型であるため、そのままでは録画どころかプレビューすらできません。具体的にはWME9ふぬああを使います。設定にコツがいるのでネットでの事前調査は不可欠ですね。(→ふぬああの設定例WME9の設定例
音声はサウンドボードのマイク入力を介してキャプチャソフト側で選択して取りこみます。

ふぬああは録画形式を選べたり便利な一方で動作が重く、WME9は機能は最小限であるものの比較的動作が軽いそうです。ただしどちらもリアルタイムエンコードになるので録画は超負荷です。PS2程度の解像度ならまだしも、ハイデフ録画は半端なスペックのPCじゃとても追いつきません。Core2クラスでも2.0GHz×2以下ではプレビューがやっとで録画は難しいです。Core2Quad Q6600(2.4GHz×4)なら5Mbpsでの実況も可能だから、録画も大丈夫でしょう。

なお、CPUの省電力機能と相性が悪く、Intel製CPUではC1Eステート、AMD系CPUではCool'n'QuietをBIOSで切らないと動かなかったり動作に異常をきたすという報告が多いです。
白飛び問題は最新版のドライバでだいぶ改善されたものの、波打ち現象は電源周りの設計の悪さに起因するものでソフトウェアレベルではどうにもならず、電源回路を改造するようなコアなチューンが必要です。
他にもプレビューソフトの設定を更新するとたまに明るさが勝手に変わるなど細かい不具合はあるそうですが、エグゼリカのキャプチャー画面を見る限り、ネットで酷評されるほどの悪さではないように見えます。有志の果敢な人柱と研究によってトラブルの回避方法なども編み出され、実際、お友達のは大きな問題もなく必要充分な仕事はしているとの評価です。

とはいえ、安さが魅力のHARROCではありますが、初心者が迂闊に手を出すのはやめた方がいいです。

総評と注意事項

現時点ではどう考えてもPV4で安定ですね。自分で使ったわけではないですが、費用対効果を考えると本当によくできてると思います。人気があるのも頷けます。
経済的に余裕がある社会人ならHDRECSも選択肢にありますが、D4でゲームを録画することが目的ならPV4でも同じ画質を達成できます。(HDRECSの真価はD4以外にHDMIやVGAにも対応してることにあります)
HARROCはお金ない人が買うものでなく、言うこと聞かないじゃじゃ馬を手なずけるような面白さを見いだせる人向けじゃないでしょうか。俺はそんな知識も技術もないのでガチ鉄板なHDRECSにしましたけども。

HDキャプボ全般で注意することは、録画のファイルサイズがあまりにも巨大なことです。従来のテレビキャプチャーボードでは1分100MBも費やせば超画質と言われてたものですが、ハイデフでは1分1GBが当たり前です。他形式に再圧縮しないととても保存しておけません。
まぁ問題は容量ではなく、データレートがあまりに大きいために高速なHDDでないと書込が間に合わなくなり、録画に失敗することがあることです。当方の環境でも「プレイが終わって録画停止を押そうとしたら失敗して止まってた」という現象が何度か起きました。(プレイはテレビだから止まっても気づかない)

これを防ぐには、シリアルATA接続のHDDを使うことと、できるだけ大容量のHDDを使うことが効果的です。HDDの転送速度自体はパラレルATAで間に合っても、PCIバスの帯域がUSBなどに食われると足りなくなったりします。また、大容量であるほど記録密度が上がり、書込速度も上がります。今なら500GBのHDDがお買い得でよろしいでしょう。
もちろん、シリアルATAでストライピングRAIDを組むのが理想的です。支部ではICH9Rで500GB×2のRAIDを2セット用意して、片っぽの先頭400GBをHDRECS用にしています。

[ ドライブのプロパティ ] あと、HDDのフォーマットをNTFSにするのは常識として(FAT32では1ファイルで2分しか録画できません)、ドライブ圧縮オプションを使わないようにしましょうね。
これにチェックすると入ってくるデータすべてに圧縮がかかり、処理が間に合わない=書込失敗が増えます。(当方の環境ではこれが原因でした)